ヴァレンティーナ・バルバロとエコーズ・オブ・エンパイア:第11話「デンジャー・ドック」
デンジャー・ドック
愚かだ。愚かすぎる。ヴァレンティーナが一番嫌なタイプのバカだった。
時には愚かさが唯一の合理的な選択だった。
ヴァレンティーナは、光速でジャンプするたびに追いついてくるグランピーとアイシーに先んじて、いくつものシステムを通過していた。どこにいるのかもわからなかったが、ようやく探していたアービター船を見つけた。ここは敵地だが (現時点では)、答えを見つけるために潜入するしかなかった。
このアービターの船はタイタンだった。実質的な浮遊型コロニーでは、船内の全員がお互いの顔を知り尽くすのは不可能だ。さらに、ギャリソンとは違い、アービターズは一般的なドレスコードに従ってさえいれば、ユニフォームにこだわることはなかった。ヴァンティーナのオレンジ色のエクソスーツは、巨大な船をスムーズに動かすための他のメカニック、パイロットやサービス業者たちと見事に混ざり合っていた。
想定外の場所に忍び込むには特別な心構えが必要だったが、芸術気質のヴァレンティーナにはお手の物で、それが彼女の強みでもあった。
最初のルールは、自然な行動。
ヴァレンティーナは、アステリアス号を小さな逃げやすそうな場所にあるハンガーの1つにさりげなく着陸させた。
ハンガーの監視人たちが船を確認しに寄ってくると、「配達よ。」と言い、退屈そうな顔で船の後ろを指さし、もう片方の手では認定配達船としての資格を差し出した。監視人は疑っていたが、「デイム・ソフィー・アニャに上で会うことになっている。行き先は分かっている。」と伝えた。
一言一句が嘘だったが、その時ハンガーの向こうで大きな音がして、監視人はタブレットを彼女に突き返すと去っていった。とてもラッキーだったが、ヴァレンティーナは運に頼ることが嫌いだった。
「迷ったら操縦機を調べろ。」と肩越しに声をかけられた。「うろちょろするなよ。警備員が定期的に巡回しているからな。」
そう言って彼は去っていき、ヴァレンティーナは心なしに手を振るとタブレットをベルトに戻して、一番近い操縦機に向かった。船のメモリーバンクに急いで侵入しなければならない時のために買っておいた、非常に高価な小型のスライサーを持っていた。繊細ではないが、アステリアス号から数歩しか離れていないし、格納庫のドアは大きすぎてすぐには閉まらない。いざという時はあっという間に立ち去ることができる。
スライサーを操縦機に接続すると、すぐに点灯して作業を開始した。すでに、シギス・ステーションに関する情報、彼女の名前、そしてガブリエル王子に関する情報を検索するようにプログラムしていた。スライサーを隠すために船内の地図を出して、何気なくスクロールすると、スライサーが点滅し画面にファイルが表示されたが、ある資料が目に入り、ヴァレンティーナは固まってしまった。
ミアズマについてだった。
他のファイルがコピーされている間、その資料に目を通した。一瞬、なぜスライサーの情報網に引っかかったのか混乱したが、その内容を把握した時、自分の名前を見つけて鳥肌が立ち顔が青ざめた。
ミアズマだ。アービターズはミアズマの発生源を探していた。彼らはそれが武器だと思い、さらに悪いことに、彼女がその武器のありかを知っていると思っていたのだ。
ファイルのコピーが終わると、ヴァレンティーナはすぐにアステリアス号に戻った。 目立たないようにするために、全身の力を振り絞りながらゆっくりと歩き、監視人に手を振った。システムから抜け出して次の行動を考えるのに十分な時間だけ、自分の存在を無視してくれれば何でもいい。
ヴァレンティーナの冒険は、章を追うごとに深く危険なものになっていきます。この悪夢に巻き込まれるのは避けられないことを知った今、彼女はどこへ行くのか?どうやってひっそりと仕事を完成させることができるのか?
ヴァレンティーナはまだ次の目的地を決めていませんが、決まり次第、新たな星団でのセレスティアル・クレイム先行販売が行われます。
話しの展開にご注目ください!
Discordで会話に参加!
出典:Gala Games Medium: Echoes of Empire
原文:Danger’s Dock — Part 11 — Valentina and the Echoes of Empire