ヴァレンティーナ・バルバロとエコーズ・オブ・エンパイア:第10話「素早い滑り出し」

素早い滑り出し

追われているのは確実だったが、ヴァレンティーナ・バルバロはそう簡単には捕まらない。この数年、取引の良し悪しに関係なく競争相手や海賊など、多くの者に追われてきた。まだ生きているのは、誰も彼女を捕まえられなかったからだ。

今回もいつもと同じ。スラスターを12回小さく噴射すると (近距離スキャナーを作動させるほどではない)、追っ手のほぼ真後ろに回り込み、彼らの船の影に入って視界に入らないようにした。”敵の死角を知れ “とは、大好きな師匠の言葉である。

飛行には苦労したが、頑丈に武装した2隻の戦艦は、彼女の逃げ足の速さを知っていた。この混乱に巻き込きこまれたのと同じ周波数を彼らはまだ使っていたが、ヴァレンティーナは、明らかに自分にとって好都合なミスをしてくれた敵を罵倒するつもりはなかった。

「どうしたの。もう一時間も黙っているじゃない。」この地域の多くの小惑星の間を縫うようにして、独り言をつぶやいた。誰に追われているのかを見極めて、一発逆転を狙うには絶好の場所で待つ。「言い争いを始めなさいよ。」

彼女がアイシーと名付けた女と、最初に聞いた声の男、グランピーは、お互いに激しく憎み合っているようだった。少なくとも、一緒に仕事をしたい、とは思っていないのは分かった。ヴァレンティーナは、侮辱や時折出る露骨な脅しなど、頻繁に交わされる彼らの通信を楽しみ始めていた。

グランピーはヴェレンティーナの独り言に答えるかのように、「この哀れな密輸業者を見つけなければ。」と言い出した。「ゼイガーはフェリックスを買収しとうとしたが、気取った馬鹿なだけでなく、うざいほど正義感が強いあいつは、バルバロが何を狙っているのか教えようとしない。」

ヴァレンティーナに1点!”ゼイガー “はアービター・ファンクショナリーの称号だった。裏切らなかったフェリックスに拍手を送ろうじゃないか。彼に対する好感度が上がった。かなりの額の報酬を前に、裏切られるとは思っていなかったが、正直驚いた。フェリックスはまともな人間だったが、皆んなと同じように、彼にも代償があった。豊かな資金を持っているアービターズなら、十分な金額を提示してくるだろう。いずれ寝返るだろうが、それを恨んだりするつもりはない。

そうなる前に、どこか誰も追ってこない場所を探さなければならない。

「いがみ合うカップルとはそろそろおさらばね。 」と、ヴァレンティーナは自分に言い聞かせ、選択肢を考えた。アステリアス号の速度を落とし、アイシーとグランピーの間に距離を置いてからシステムを切り離す、という良い思いつきに思わず顔がほころんだ。

第1話「ケプラーズ・レムナント」

第2話「独立保護領」

第3話「ライトスピア」

第4話「シェパード・ヴォイド」

第5話「セレスティアス・ノックス」

第6話「クルーシブル」

第7話「ミアズマの端」

第8話「ペール」

第9話「深入り」

ヴァレンティーナは、セレスティアル・クレイム先行発売第2回の終了とともにペールを去りましたが、謎の追跡者はアステリアス号を追ってミアズマ近くの空間に入りました。

彼女がどのようにして追跡者から逃れるのか、そして次はどこに避難するのかは、次回をお楽しみに!

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