ヴァレンティーナ・バルバロとエコーズ・オブ・エンパイア:第9話「深入り

深入り

雑音の無くなった通信内容からはより多くのことが分かったが、ヴァレンティーナにとってはさらに疑問が増えただけだった。もう一回聞いた後、小さなキッチンから飲み物を取りに行くために、不機嫌そうに立ち上がった。

何回も聞いたからといって謎が解けるわけはなかったが、好奇心が勝り、なぜか何回もリピートした。

「遺物はここのどこかにある。それが見つかれば、銀河の様相は一変するだろう。」という教養さが感じられる、おそらく年配の男の声が静寂の中に響いていた。貴族…アービターズやギャリソンの高官かもしれない。教育費が高かった時代だ。「歴史的な記録によると、シギス・ステーションはモナーキーの軍事力の要であったとされている。兵器はどこかにあるはずだ。それを見つけられれば…その…鼻から支払うことになるだろう。ガブリエル王子が私たちの名前を知ることになる…大きな報酬だ」

トレジャーハンターかもしれない。王子の名前が出てきたからには、彼らがいずれかの派閥に属しているはずなのだか、悔しいことにどの派閥かは分からなかった。何を追い求めているのか、そして連絡の取り方さえわかれば、ちょっとした金儲けができるかもしれない。彼女はあの空間を誰よりもよく知っている。

シギスステーションの時と同じように、突然通信機が鳴った。ヴァレンティーナは録音を止め、通信がもっと拾えるように身を乗り出した。ランダムな通信を拾うべきではないし、最後に手に入れた通信機が敏感すぎたのかもしれない。規格外の部品を使って修理をするのはよくないと思っていたが、やむを得ない場合もあった。

「見えるか?」

ヴァレンティーナは背筋を伸ばして座りながら、ビューポートの外を見つめた。古い採掘場の近くにある放棄されたクレイムの下にアステリアス号を停めた。そこは分厚いメッキの防御壁によって探知から守られていて、外を確認することは出来たが、誰にも見つけられない自信があった。

聞き覚えのある声にヴァレンティーナは鳥肌を立てながらも冷静を保っていた。それは、通信と同じ声だった。

「情報提供者によると、彼女がこちらに向かうのを見たそうです。」今度は冷たい女の声で返答が返ってきた。 船は2隻、それ以上か。好ましい確率ではない。 「彼女はシギス・ステーションで我々の通信を聞いており、廃墟となった制御室にいたことがわかっていますが、そこで何を見つけたのかはわかりません。」

「彼女はなんのためにフェリックスのところに行ったんだ?」と男は尋ねた。ヴァレンティーナは息を切らして罵った。もちろん、彼らは自分が何かを見つけたと思っているはずだ。彼らの情報提供者は、フェリックスのために流した通信を聞いて、みんなが同じ目的で来ていると思ったに違いない。最初の通信で言っていたように、武器を探していたとしたら…そうじゃない。必要以上に厄介なことになってしまった。「何か売れるものを見つけたんでしょう。馬鹿な真似をしてくれたわね…」

「そんな言い方ないだろう。 船が見えるか?」

「いいえ。何も見えない。さあ次はどうする気?」

自分の存在が気づかれていないことを知り、ヴァレンティーナは少し安心した。アステリアス号を隠すのは得意だった。

「探し続けろ 。ダスト・エコーなしで FTLジャンプはできない、この辺りにいるはずだ。」

二人が沈黙すると、ヴァレンティーナは、二人に聞こえるはずもないのに息を止めて、自分の通信機が通信されていないことを再確認し、ゆっくりとアステリア号の電源を入れた。

ここに留まる意味はなかった。彼女は姿勢制御用のスラスターを使って、隠穴からゆっくりと抜け出し、装置を追っ手との間に置いた。FTLを起動した瞬間に追いついてくる彼らに、 探知されずにジャンプすることはできない。別の選択肢が必要だった。

第1話「ケプラーズ・レムナント」

第2話「独立保護領」

第3話「ライトスピア」

第4話「シェパード・ヴォイド」

第5話「セレスティアス・ノックス」

第6話「クルーシブル」

第7話「ミアズマの端」

第8話「ペール」

ヴァレンティーナは、セレスティアル・クレイム先行発売第2回の終了とともにペールを去りましたが、謎の追跡者はアステリアス号を追ってミアズマ近くの空間に入りました。

彼女がどのようにして追跡者から逃れるのか、そして次はどこに避難するのかは、次回をお楽しみに!

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